2020年2月20日木曜日

新型コロナ肺炎についての考察

今日は2月18日

今日は2月18日(火曜日)。一昨日、政府の対策会議にて、現状認識として封じ込めを諦め、感染拡大初期であると改め、感染ペースの遅延対策を基本方針とすることが決定されました。17日(月曜日)の午前中には、医療機関に相談すべき自己診断基準が示され、発熱時は仕事や学校を休むべきだという勧告がなされました。

実際のところ、基本的には僕の予想通りの展開になっています。
僕は2月下旬には、予防的なマスク奨励の状態になるとみて、研究室メンバー用に2か月分のマスクを買い込みました。16日には体温計を新調しました。非接触型の体温計も検討したのですが、精度が良くないので諦め、15秒で測定できるものを選択しました。

日本国内の感染者数は500名を超えました。そのうちクルーズ船での感染者は450名程度なので、実質の国内感染者は50名程度です。ただ、ここ数日、一日10名くらいのペースで市中感染例が報告されています。今後、どんどん増えます。

統計的には、およそ2.5日で患者数が倍になるという報告があり、このままいくと、3週間後(大学入試後期日程のころ)には10万人規模の感染が報告されることになります。ちょっと恐ろしいです。

報道等から推測される感染力

医療専門家や政府はパニックを恐れるので、どうしても病気を過小評価する傾向にあります。なので、いろいろ独自に分析してみます。

この病気で特徴的なのは感染力です。
特に注目すべきは医療従事者の感染です。最初の死亡例となった千葉のおばあさんの場合、担当看護師が感染しています。新型かどうかにかかわらず、おばあさんには肺炎の症状があったはずなので、看護師は防疫を心掛けていたはずです。マスク・手洗いは一般の人より徹底していたはずです。にもかかわらず、感染しています。
クルーズ船の検疫官も複数感染しています。クルーズ船では横浜到着前から感染者の存在が強く推定されていましたから、検疫官は徹底した防疫を行っていたはずです。にもかかわらず感染しています。
看護師も検疫官も防疫に関する専門家のはずで、我々が可能な防疫手段よりもワンランク以上徹底した対策をしていたと思われます。彼らが感染したという事実は、「通常の防疫措置では防げない」ということを意味しています。
上海の意思はエアロゾルによる感染の可能性を報告しています。一般にエアロゾル感染というのは極めてまれです。というか、現在の医学ではエアロゾル感染という概念はほぼ否定されています。エアロゾル感染するためには、ウイルスが小さいこと、少量のウイルスで感染すること、が条件です。インフルエンザですらエアロゾル感染しないということが研究によって確かめられています。ですので、現在の医療では「飛沫感染を防止すれば十分である」として、マスク・手洗いを徹底すればよいとしていますし、せいぜい保護メガネが着用される程度です。しかしながら、中国では全身を包むタイプの防護服が標準になっています。昨日アメリカのチャーター機がクルーズ船の米国人を移送しましたが、米軍スタッフは全身タイプの防護服を着用していました。ということは、予防的な対応ではあると思いますが、米軍はエアロゾル感染の可能性があると考えているわけです。

沖縄の女性タクシー運転手が武漢からの観光客を乗せたことが原因で感染しました。さて、タクシーに乗ったとして、運転手と乗客がどれほど接触するでしょう?会話するとしても面と向かうことはありませんし、運転手と乗客の間にはプラスチックの衝立が一般的です。会話等での飛沫が運転手にかかることはまずありえません。握手なんかしません。考えられるのは、料金の支払い時にお札を受け渡す場面です。紙幣を介して感染することは考えられます。実際、現在の中国ではお札を殺菌するという取り組みが行われているくらいです。中国政府もお金を介した感染の可能性を疑っているわけです。ただ、中国人観光客の場合、キャッシュレス決済かもしれません。
次に考えられるのは、車内清掃時の感染です。ただし、車内清掃は相当な時間が経過した後に行われたと思われるので、一般には感染経路としては考えません。しかし、このウイルスに限ってはそういうことがあるのかもしれません。
しかしながら、エアロゾル感染があるとすると話は変わります。エアロゾル感染では狭い車内に数分一緒にいるだけで感染します。

エアロゾル感染が強く疑われる事例が中国で報告されています。レストランで武漢からのグループのテーブルの横のテーブルにいた客が複数感染しています。レストランの隣のテーブルの客と体を触れることすら普通はありません。この事例はエアロゾル感染を強く示唆しています。

これらのことから、新型肺炎はエアロゾル感染すると思って対応するべきでしょう。ただ、エアロゾル感染するとすると、防御手段がありません。ですので、政府見解では得あるゾル感染しないとしています。


真の潜伏期間

東京の屋形船では複数の人が感染しています。感染力に注目されがちな事例ですが、重要なのは潜伏期間です。屋形船で新年会が行われたのは1月18日です。最初の感染が確認されたのは2月上旬、複数の感染が確認されたのは2月中旬です。つまり、2週間程度完全に見過ごされていたということです。ただ、新型肺炎の感染の広がりが認識され始めたのが2月に入ってからなので、最初の感染確認が遅れたのは仕方ないのかもしれません。
重要なのは、集団感染状態にあるにもかかわらず、追跡調査しないとそれがわからなかったということです。1か月も前の新年会が集団感染の原因なんて思いもよりません。こういうことが起こるのは、症状が出るまでの潜伏期間が2週間以上あるという事実です。中国からも長い潜伏期間が指摘されていますが、実際の潜伏期間はもっと長いと思われます。
そして大事なのは、感染後にウイルスをまき散らし始めるまでの期間が極めて短い可能性があるということです。無症状の感染者が多数報告されていますが、多くの場合最終的に症状が出ることが報告されています。ウイルスをまき散らし始めるというのは病気としては立派に発症していることになります。つまり、ウイルスをまき散らし始めるまでの真の潜伏期間は極めて短いということです。
屋形船の場合、懸案の新年会の3日前に武漢からの団体観光客を受け入れています。その時にスタッフが感染したと推定されます。そして、3日後にはウイルスをまき散らし始めたということになります。真の潜伏期間は3日です。インフルエンザと同程度かそれより短いくらいです。その後、明らかな症状が出ない「偽物の潜伏期間」が2週間程度続くわけです。これはとても厄介なことです。防疫はほぼ不可能です。

また、真の潜伏期間の最短は3日として、最長はどのくらいでしょう。政府見解では12.5日ということですが、これは疑わしいかもしれません。というのも、チャーター機で武漢から戻ってきて千葉のホテルに留め置かれた人が12.5日経って解放されたのですが、そのあくる日に体調不良を訴え、感染が発覚しました。明らかに、12.5日では足りなかったということです。
真の最長潜伏期間の推定には、クルーズ船のケースが参考になります。クルーズ船では連日のように感染者が報告されています。クルーズ船で隔離対応が始まったのは2月1日ごろなので、18日間隔離されたことになります。にもかかわらず、感染報告が止まりません。クルーズ船内の管理がザルだという話がありますが、乗客はむしろ自主的な隔離をしていたはずです。ということは、実際の潜伏期間は14日どころではない、ということを意味します。
さらに、クルーズ船の乗客たちの中には複数回検査して、感染発覚に至ったケースも多くあります。きちんとしたデータがありませんが、検査可能にまでにかなりの時間が必要だということを意味しており、18日程度の潜伏期間があり得るということだと思います。

実は、屋形船のケースでも極めて長い潜伏期間が推測されます。屋形船での新年会は1月18日で、最初の患者の発覚は2月上旬でした。そこから、関係者には自主的隔離措置が取られたと思われますが、感染報告は後を絶ちません。実際、屋形船で感染した人が2月中旬に症状が出て感染発覚となっています。潜伏期間は最長で1か月に達する可能性すらあります。

死亡率から見るインフルエンザとの違い

新型肺炎での死亡率は2%程度ということが今朝WHOから発表されました。医療環境のよい日本での死亡率はその半分くらいになるかもしれませんが、それでもインフルエンザ(死亡率0.025%)の50倍の死亡率です。
僕が注目しているのは、重症化してからの回復者数です。現在では実数を把握できていませんが、初期のころは数字が出ていて、回復者数と死亡者数はほぼ同数あるいは死亡者数の方がやや多い状態でした。これから回復者になる隠れた回復者数の存在を加味すると、実態としては、回復者数と死亡者数はほぼ同数とみていよいと思います。つまり、重症化すると死亡率が50%ということになります。日本でも複数の重症者が出ていますから、これから実態がわかってくると思いますが、重症からの死亡率が10%を切ることはないと思われます。やはり、かなり怖い病気であると判断せざるを得ないと思います。

実は、今米国でインフルエンザの死亡が爆発的に増えています。1万5000人くらいがインフルエンザで死亡しているといいます。さて、インフルエンザの死亡率が0.025%とすると、死亡者の4000倍の患者が見込まれます。すると、全米で6000万人の患者がいることになります。米国の人口は2億5千万人くらいなので、4分の1の人がインフルエンザに罹患していることになります。もしそうなら、社会システムが崩壊していないといけません。が、そうなっていないことから、異常に高い死亡率を持つ強毒性のインフルエンザということになります。そうなるとパニックのはずです。でもそうなっていません。

今朝ですが、米国CDCがインフルエンザで死亡とされる患者が新型肺炎だったかどうかの検査を行うという記事を目にしました。米国では医療保険に欠陥があり、多くの人がインフルエンザ程度では医療機関にかからないという実態があるそうです。インフルエンザで死亡とされていても、インフルエンザとの確定診断がついている例は少なく、実際にはインフルエンザではないケースも多いと推定されるそうです。そして、CDCは米国でのインフルエンザ死者数の異常さを鑑み、その中に相当数の新型肺炎が含まれている可能性を考慮しているというのです。

さて、こうなると米軍のチャーター機スタッフが完全防護であった理由も納得です。もし、米国で新型肺炎が蔓延済みでパンデミック状態だったとすると、大変なことです。

愛知県ではハワイ帰りの夫婦が感染していることが判明しています。感染経路が不明なのですが、ハワイは米国です。もしハワイが隠れたアウトブレイク地域だとすると、その影響は全世界にすでに及んでいると推定されます。
ハワイ帰りの夫婦の発症がハワイ帰国後日が浅い状態だったので、ハワイでの感染の可能性が低いかも、と思っていたのですが、東京の屋形船の件を鑑みると真の潜伏期間は短いので、短期間で発症してもおかしくないし、米国でインフルエンザとされている中に相当数の新型肺炎が含まれるとすると、ハワイが感染源でもおかしくありません。ただ、このようなストーリーになるには、不確定要素が多すぎます。現時点では可能性でしかありません。

エアロゾル感染と無症状感染が両方ともあるとすると、今後の展開は最悪ペースになると思われます。すなわち、3月下旬~4月中旬にかけて日本のほぼすべての人が感染する可能性があります。そのうち、2%が死亡するということなので、100~200万人が死亡してしまいます。コロナウィルスは夏になると感染力が低下し、自然に収束するはずですが、大半の人が4月中に感染することになり、夏になる随分前に多数の犠牲者が出るでしょう。
もちろん、そうならない可能性もあります。が、このままいくと全国民の感染は避けられず、2%の死亡率が本当だとすると、統計的に確実なシナリオ、ということになります。統計学は無慈悲です。

現在、中国武漢での感染拡大は落ち着いているように見えます。でもこれは武漢の全市民が感染済みである結果かもしれません。2.5日で倍という感染ペースだとすると、そろそろ武漢の総人口である1000万人に到達しているはずだからです。これからは、感染者数は拡大せず、死亡者数だけが増えるかもしれません。統計は無慈悲なのです。