2021年1月25日月曜日

コロナワクチン大作戦

 行政の無能さに腹が立つ

今日は2021年1月25日です。新型コロナの感染拡大は落ち着きを見せていますが、まだまだ予断を許さない状況です。そして、新型コロナ対策のラストリゾート(頼みの綱)、ワクチンが日本でも開始しそうです。
そこで、いろいろな問題が取りざたされています。問題点を整理すると以下のようになります。
①低温でのロジスティクス
②ワクチン接種会場
③ワクチン接種対象者の情報管理

大勢の人々が携わっており、いろいろな人が頭をひねっているのだと思いますが、大変だ、大変だ、という話ばっかりのようです。なんでこんなに知恵が出てこないのでしょうね。

①低温でのロジスティクス

ターゲットの温度は-80℃というものです。そもそもなんで-80℃なのか?ということに疑問を感じないのでしょう?-60℃でもなく、-100℃でもなく、-80℃なのです。

低温保管にはいくつかの基準温度があります。

冷蔵なら、5℃で、これは冷蔵庫での保管を想定しているという意味です。

冷凍なら-5℃と-20℃があります。-5℃は家庭用冷蔵庫の冷凍庫での保管を想定していて、-20℃なら業務用冷凍庫を想定しています。アイスクリームは-20℃保管です。

次の低温の基準が-80℃です。これはディープフリーザーという研究で使うような強力な冷凍庫を想定します。ディープフリーザーが-80℃に設定されているのは、ドライアイスの融点が-80℃付近で、実験室で手軽に安定して使える低温環境が-80℃というのが理由です。ドライアイスをメタノールに浮かべたドライアイスメタノール(通称ドラメタ)はちゃんと管理すれば、大掛かりな装置なしに1日くらい-80℃を保持できます。そのため、研究の現場では-80℃というのはよく使われる温度なのです。そのため、研究室から取って出し状態の最新のコロナワクチンの性能が-80℃でないと保証できない、ということで-80℃がコロナワクチンの保存温度とされているのだと思います。

もっと低温なのが、液体窒素の沸点である-194.5℃です。氷結というチューハイのブランドがこの温度をキャッチフレーズにしていますが、これは液体窒素で凍結した果物をすりつぶした、ということを宣伝しています。-194.5℃は冷凍技術でも作り出せますが、空気を圧縮後に減圧することで比較的簡単に作り出せます。空気を圧縮すると液体酸素と液体窒素が得られます。液体酸素はいろいろな需要があるのですが、液体窒素は冷却とか酸素の追い出しとか、比較的「お安い」用途しかありません。だから、安い液体窒素を使い捨てにできるので、液体窒素温度が保存用途に使われるのです。

ということで、輸送はドラメタを使えば解決するわけです。二酸化炭素中毒が怖いので、窓を開ける必要はありますが、普通の自動車で運搬可能です。これで、輸送拠点から津々浦々のワクチン接種会場までの輸送のめどが立ちます。そして、ワクチン接種会場での一時保存でも、ディープフリーザーは必須ではないとわかります。ドライアイス自体は2~3日持ちますからね。

②ワクチン接種会場

僕の子供のころはインフルエンザのワクチンを学校で集団接種してました。例のB型肝炎を蔓延させた原因のやつです。

学校の体育館にリノリウムのシートを敷いて、子供たちが一列か二列にならんで、順にワクチン注射を受けました。集団でのワクチン接種はなくなりましたが、似た光景は今でも時々目にします。選挙です。

選挙の投票所のレイアウトはワクチンの集団接種にそのまま流用できます。
個人の認証・チェック(簡易の問診)・投票(消毒と注射)と対応させることができます。ワクチン接種の場合は10~20分程度の経過観察が必要になります。
ご存知のように、多くの投票所は小学校や中学校に設定されています。なので、教室はたくさんあるのです。それを活用すれば経過観察の時間を十分にとることができるでしょう。

選挙の投票所は18才以上の全国民を1日で処理できるように全国津々浦々にきめ細かく設定されています。コロナワクチンの対象者は16歳以上の全国民ということなので、場所と処理能力は十分のはずです。

「ワクチン接種会場は選挙の投票所を標準とする」と基本方針を打ち出せば、役人たちはすぐにイメージできて、滞りなく準備できるでしょう。そういうのは彼らの得意とするところですからね。

③ワクチン接種対象者の情報管理

ま、これも基本的に選挙でやってますからね。
ちょっと前までは紙の台帳を使ってましたが、今は電子化されています。
選挙のはがきにあるバーコードを機会にかざすと、投票済みかどうかのチェックと、本人確認のための情報が画面に表示されるようになっています。

ワクチン接種対象者の情報管理システムは、もう存在するのです。心配はいりません。

選挙の時と同様、はがきを送り、そこに接種会場と日時と個人確認用のQRコードを書いておくのです。ついでに問診表入力用のQRコードも書いておくとよいでしょう。問診表をあらかじめ入力しておけば、現地での手続きを簡素化できます。

選挙は日曜日なので、学校は休みですが、ワクチン接種は日曜とは限りません。なので、当日、会場となる学校は休みにする必要があります。でも、それはそうすればよいだけの話。子供たちには悪いけど、振り替えで土曜日や日曜日に学校に行ってもらえばよいのです。あらかじめ予定しておけば、子供たちも対応可能なはず。やれない理由をあげつらうより、やれない理由を分析してつぶすことを考えた方がよい。反対意見が出た時には、それを肯定し、理由を説明させ、「理由がわかっているなら、その理由を一番よく理解しているあなたが解消法を考えてください」と返すのがよい。これで反対意見はすべてつぶせます。

愚直な方法を選びがちな行政

兵は拙速を尊ぶ、ということわざがあります。戦争などの非常時には、まず行動することが大事である、という教訓です。それは時間がないときの行動指針であり、十分な時間があるときは、たとえ軍隊であっても拙速は悪手です。例えば、兵站と呼ばれる軍需物資のロジスティクスは、戦略上の要であり、最重要項目です。兵站では拙速は最も避けるべき行動原理です。

僕は以前、公務員宿舎に住んでいていて、近所に住む公務員の皆さんと交流がありました。その時、公務員の皆さんの行動原理にびっくりしました。公務員の皆さんは、行為とその目的を分離し、行為の完遂を直接的に目指します。その際、目的が達せられるかどうかは二の次になります。行為の途中に目的を毀損しても、意に介さないのです。
それはある意味、組織における効率的な行動原理です。個人の受け持ちにおいて「損」が発生しても、それを補うだけの「益」が全体として得られるなら、自分の受け持ちにおける「損益」は関知する必要がない、という立場です。
官僚機構というのはそういう人たちの集まりで、生身の人間で構成されているものの、ひとつの機械・装置とみなすべき存在です。構成要素である公務員の皆さんは、ねじや歯車のようなもので、一個のねじや歯車の働きから装置全体の効率なんて議論できないように、個々人の仕事の「損益」が全体の「益」に資するかどうかは知る由もありません。むしろ、自分の「益」を重視するあまり、全体に「損」が及ぶのは最も避けるべきことです。だから、指示された「仕事」にきっちり取組むことが最優先で、それは自分の仕事の成否よりも大事なことなのです。

もちろん、リーダーがこんな行動原理ではダメです。リーダーは官僚機構のこうした特性をちゃんと理解して、それを効果的に活用することを心掛けねばなりません。


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